栗田工業株式会社(本社:東京都中野区、社長:江尻 裕彦、以下「クリタ」または「当社」)は、第22回「高校生・高専生科学技術チャレンジ(Japan Science & Engineering Challenge;JSEC)」(以下「JSEC2024」)において、水と環境に関わる優れた研究に対する「栗田工業賞」を、神奈川県 浅野高等学校2学年の工藤 良史(くどう・よしふみ)さんへ贈呈しました。
授賞式の様子(左:工藤さん、右:当社執行役員イノベーション本部長 鈴木 裕之)
JSECは、理数教育の増進に資することによる科学技術水準の向上を目指し、株式会社朝日新聞社および株式会社テレビ朝日の主催により2003年から実施されている、全国の高校生と高等専門学校生を対象とする科学技術の自由研究コンテストです。毎年幅広い分野から研究作品を募り、専門家による書類審査とプレゼンテーション審査により、優秀な研究を表彰しています。当社は、JSECの活動趣旨に賛同し、社会貢献活動における次世代育成の一環として、2019年から協賛しています。
JSEC2024は、全国の173校の高校および高等専門学校から過去最多となる404件の応募があり、予備審査と一次審査を経て、2024年12月7~8日の2日間にわたり日本科学未来館で最終審査会が行われました。この結果、「栗田工業賞」には、工藤さんの研究「バイオチャー(*1)散布が森林生態系の炭素収支に与える影響と炭素隔離効果の長期的検証」が選ばれました。研究内容については、以下の本賞概要を参照ください。
なお、「栗田工業賞」を含むJSEC2024の上位受賞者は、2025年5月に開催される国際学生科学技術フェア「ISEF(International Science and Engineering Fair)」に、日本代表として出場する予定です。
また、「栗田工業賞」の副賞として、受賞者である工藤さんとクリタグループの国内外の研究者との交流会を開催する予定です。企業における研究開発の様子などを研究者から直接聞く機会を提供し、受賞者の今後の研究活動やキャリア形成の一助としてもらいたいと考えています。
クリタグループは、社会貢献活動における重点分野の一つである「次世代の育成」に関する取り組みを引き続き推進することで、持続可能な社会の実現への貢献を目指してまいります。
【JSEC2024栗田工業賞概要】
受賞者:浅野高等学校2学年 工藤 良史(くどう・よしふみ)さん
研究内容:「バイオチャー散布が森林生態系の炭素収支に与える影響と炭素隔離効果の長期的検証」
2つの調査区を林内に設置し、片方の区画にバイオチャーを10 t/haになるよう散布した。生態学的手法を用いて各区画における炭素固定量や炭素放出量を測定し、炭素収支の指標となる生態系純生産量の推定を行った。
結果として、非散布区の生態系純生産量は減少傾向を示したが、散布区の生態系純生産量は増加傾向に転じた。これはバイオチャーによって樹木成長量が増加し、葉や生殖器官の生産を促進したことに起因する。一方、懸念点であった土壌呼吸量増加の影響は初年度に留まり、長期的にみれば炭素放出量への影響は小さいことが示唆された。
よって、森林生態系へのバイオチャー散布は、森林の炭素固定機能を改善し、炭素隔離効果を発揮することで地球温暖化の緩和が期待される。
以上
注)
*1 : バイオチャーとは、生物資源を材料とした、生物の活性化および環境の改善に効果のある炭化物のこと。