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バイオ医薬品向けクロマトグラフィー装置「KuriPrep® ULCシリーズ」を開発 ~治験薬製造から商業生産まで幅広く対応する装置をラインナップし、バイオ医薬品市場を開拓~

2015年9月11日

     

    栗田工業株式会社(東京都中野区 社長:中井 稔之)は、バイオ医薬品製造プロセスにおいて、医薬品の有効成分(原薬)の分離に使用するクロマトグラフィー装置を、国内メーカーとしては初めて開発しました。本装置は、当社独自のCFD解析技術(Computational Fluid Dynamics)を駆使してバイオ医薬品向けのカラム構造を最適化し、安定して高い分離・精製能力を発揮します。当社では、今後成長が見込まれるバイオ医薬品市場の開拓に向け、本装置を拡販していきます。

    KuriPrep® ULCシリーズ 装置外観

    KuriPrep® ULCシリーズ 装置外観

    医薬分野では、バイオ医薬品(*1)製造への取り組みが世界的に加速しています。バイオ医薬品製造における原薬の精製プロセスでは遺伝子組み換え技術によってタンパク質やペプチドなどを生成した後、その有効成分を安全かつ高精度に分離するクロマトグラフィーが重要な技術となります。クロマトグラフィー技術は原薬の有効成分を分離するために、充填剤が入った「カラム」と呼ばれる容器に原料液体を通液し、原料液体に含まれる複数の成分のカラム内移動速度の差を利用して目的成分と不純物を分離回収するもので、高度化するバイオ医薬品製造では分離・精製をより高純度に、そして高効率に行う技術が要求されています。

    当社は30年以上にわたり主に低分子の合成医薬品向けにクロマトグラフィー事業を展開してきましたが、今後、市場拡大が見込まれるバイオ医薬品向けでの事業展開を目指し、これまで培ってきた技術をベースにバイオ医薬品向けの分離・精製用カラムの開発に取り組みました。充填剤本来の性能を最大限に引き出すために、カラムに入った液体の流れの挙動をシミュレーションする当社独自のCFD解析技術(Computational Fluid Dynamics)を用いて、原薬の液体をカラム内の充填層全面に均一分散する構造に最適化し、国内メーカーでは初めて本分野向けクロマトグラフィー装置の開発に成功しました。今後、高い分離性能を実現するバイオ医薬品向けクロマトグラフィー装置「KuriPrep® ULCシリーズ」として拡販していきます。

    「KuriPrep® ULCシリーズ」は、充填剤を超低圧でピストン加圧するアキシャルコンプレッション技術により大型カラムや沈降速度の速い充填剤であっても均一で良好な充填層をカラム内に短時間で容易に形成します。そして、今回初めてクロマトグラフィー装置から加圧したままの状態で充填剤入りのカラムを取り外せる仕様とし、お客様の利便性や生産性向上にも寄与します。また、滞留のない配管設計や高性能ポンプを採用した原薬の送液システムを組み合わせることで、高精度で安定した分離・精製を再現性高く実現することができます。治験薬(*2)を製造する研究開発向けの小規模装置から商業生産向けの大規模装置までをラインナップし、あらゆる充填剤にも対応可能です。

    今後は、お客様の使用用途に応じた装置を提供することで医薬品の品質向上や技術革新に貢献し、納入後のメンテナンスまで一貫したサポートを行ってまいります。
    当社では、医薬品向けクロマトグラフィー装置を水処理装置事業における注力分野と位置づけ、国内・海外双方の市場において、お客様のニーズを捉えた事業展開を加速させていきます。

    • *1有効成分がタンパク質由来、生物由来の物質により生産される医薬品。これらは化学合成の低分子医薬品に比べて分子が大きく、構造が複雑であり,その特性や性質は一般に製造工程そのものに依存する。
    • *2世界各地域・国の行政機関から製造承認を得る前の治療効果を調べている段階の薬剤。
     

     

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