ニュース

ボイラから冷却水へ お客様の付加価値を追求したサービス契約「テレマックNEO™」のラインナップ拡大

作成者: Kurita|Oct 5, 2016 3:00:00 PM

 

 

栗田工業(本社:東京都中野区 社長:門田 道也)は、本年8月に運用を開始したボイラ水処理向けのサービス契約「テレマックNEO™」のラインナップを冷却水処理へと拡大します。冷却設備の水処理管理を請け負い、処理工程の省エネルギーや設備の安定運転などお客様の付加価値を追求した水処理パッケージサービスをさらに幅広く提供していきます。

このたび新たに展開するサービスの名称は「冷却水テレマックNEO™」。工場やオフィスビルなどの空調や生産設備に用いる冷凍機の熱効率低下によるエネルギーロスを改善して省エネルギーに貢献するとともに、「レジオネラ症」という感染症の原因となるレジオネラ属菌を除菌します。
サービスの特長として、年間単位のサービス契約の中に「冷凍機のLTD値の(*1)維持保証」、「レジオネラ属菌(*2)の不検出保証」という2つの特約(*詳細は、以下補足資料を参照)を付加し、お客様に対して水処理効果を保証します。これにより、冷凍機の省エネルギー運転やユーティリティコスト低減、設備の保全や安定運転など、様々な課題解決に貢献していきます。

「冷却水テレマックNEO™」では、レジオネラ属菌の不検出の状態を維持する画期的な除菌技術「レジ//エンド®」を主体に、設備や水質に適した各種冷却水処理薬品を併せて使用します。そして、冷却水の水質や薬品注入量などを遠隔監視するシステム、薬剤濃度を一定に制御して水処理効果を安定化させる装置、冷凍機の熱効率や汚れをモニタリングする技術を組み合わせることで、冷却設備全体での水処理管理の最適化を実現します。
また、これらの商品・技術は「一括契約」の形で提供するため、初期投資が不要で直ちに水処理を開始することができます。さらには、水処理効果を常に維持することで冷凍機の開放や洗浄頻度を削減し、メンテナンスコストの抑制も可能となります。

当社では今後、国内外における幅広い業種で「冷却水テレマックNEO™」の適用を進め、お客さまの「安全・安心」のニーズに幅広く応えていきます。また、ボイラから冷却水へと「テレマックNEO™」のラインナップを拡大する中で、ボイラ水処理と冷却水処理をトータルで提案し、お客様の工場全体での課題解決を推進することで、水処理薬品事業のサービス拡大を図っていきます。

  • *1:LTD(Leaving Temperature Difference)は、冷凍機の凝縮温度と冷却水出口温度の差であり、熱交換効率(熱交換チューブへの汚れの付着状況)を把握するための指標。凝縮器の熱交換チューブに汚れが付着すると熱交換率が低下してLTDが上昇する。
  • *2:レジオネラ属菌は好気性グラム陰性桿菌で、冷却水処理を行っていない冷却塔ではその4割に成育しているといわれる。この菌を含んだ冷却塔の飛散水(エアロゾル)を人が吸入すると、レジオネラ症(発熱や頭痛、呼吸困難など)といわれる感染症を引き起こす可能性がある。

<補足資料>

1.冷却水処理

冷却水は、様々な製造業の生産プロセスにおいて、主に製品を適切な温度に冷やすために使用されるほか、工場全体の最適な空調管理によるエネルギー効率改善の役割を果たします。冷却水は何の処理も施さずに循環利用すると、熱交換器や冷却水の配管などに腐食が発生したり、スライム、スケールなどの汚れが付着します。これらにより適切な冷却ができなくなると、生産効率の低下や設備のエネルギーロス、さらには設備そのものにも大きな障害を与えることもあります。
これら冷却水系システムの障害対策として、一般的に、スライム・スケールの抑制、腐食防止に優れた効果を発揮する冷却水処理薬品が使用されます。

  1. (注)スライム:水中の細菌や藻類など微生物により形成された汚濁物
    スケール:水中に溶け込んでいるカルシウムやシリカなどが析出し、固まったもの。

2.「冷却水テレマックNEO™」特約の概要

  1. 冷凍機のLTD値の維持保証
    近年、工場やオフィスビルなどにおけるCO2排出量削減策として、空調や生産設備に用いられる冷凍機の熱効率低下によるエネルギーロス改善に取り組まれるお客様が増えています。大手工場ではエネルギーコストの2~3割を冷凍機の運転コストが占めるケースもあります。
    主な原因は、冷凍機を流れる冷却水ラインで発生するスライムやスケールなどの汚れの付着です。
    冷却水処理薬品を投入することで、冷凍機の熱交換機に汚れがつかない状態を維持し、冷凍機の運転にかかわる省エネルギーを実現できます。 
    • <LTD - 冷凍機の熱交換効率を表す指標>
      LTD(Leaving Temperature Difference)は、冷凍機の凝縮温度と冷却水出口温度の差のことで、熱交換効率(熱交換チューブへの汚れの付着状況)を表す指標です。
      凝縮器の熱交換チューブにスライム・スケール等の汚れが付着すると熱交換率が低下して温度差が大きくなりLTDが上昇します。逆に汚れが取れると温度差が小さくなります。
      一般的にLTDが1℃上昇すると電力コストは3%上昇するといわれています。
    • 今回の冷却水テレマックNEO™の特約では、当社の提供する水処理管理により、お客様の設備におけるLTDを維持することを保証するもので、お客様の省エネルギーに貢献していきます。
  1. レジオネラ属菌の不検出保証
    工場やビルなどに設置されている冷却塔では循環水が増殖したレジオネラ属菌で汚染され、そのエアロゾル(霧状の細かい水飛沫)を人が吸引すると「レジオネラ症」という感染症を引き起こす可能性があります。レジオネラ症の対策として「レジオネラ症防止指針(厚生省監修)」が定められており、検査によりレジオネラ属菌が検出(100CFU/100mL以上)された場合には、直ちに清掃消毒などの対策を講じること等が示されていますが、お客様においては安全衛生上またはビジネスリスク回避のために「レジオネラ属菌を常に増殖させない技術(検出されない=100CFU/100mL以下)」への要望が非常に強くあります。 
    • <「レジ//エンド®」>
      当社では冷却水系のレジオネラ属菌を増殖させず、不検出な状態を維持する画期的な除菌技術として「レジ//エンド®」を2015年7月に開発しました。「レジ//エンド®」は、レジオネラ属菌の温床となるバイオフィルム(多様な微生物種より構成された集合体)を取り除く「剥離タイプ」の薬剤と、冷却水中に浮遊するレジオネラ属菌を除菌する「除菌タイプ」の薬剤を併用することで、除菌効果を飛躍的に向上させるものです。(本技術では、「剥離」と「除菌」という異なる機能を持つ薬剤のシナジー効果を発揮するための最適な組み合わせを見出し、除菌効果を最大化します)
    • 今回の特約では、レジオネラ属菌に対して精度の高い検査から、検出された場合の除菌、その後の「レジ//エンド®」の適用により、レジオネラ属菌が増殖できない環境をつくり、検出されない状態(不検出=100CFU/100mL以下)を保証します。

以 上