栗田工業株式会社(本社:東京都中野区 社長:門田 道也)は、自動車塗装ブース向け水処理薬品で培ってきた技術・ノウハウを活かし、中小規模の塗装ブースを使用される自動車部品、家具、電化製品、金属製品、プラスチック製品など幅広い分野のお客様へ水と環境の課題解決提案を強化します。この取り組みにより中小規模塗装ブース市場を開拓し、国内外で水処理薬品事業の拡大を図っていきます。
当社はこれまで、自動車組立工場の大規模塗装ブースにおけるお客様の課題解決に向けて、様々な用途の水処理薬品をラインナップしてきました。2015年6月には中小規模の塗装ブース向け薬品「クリスタック®W307」を上市し、そのラインナップに加えたことで、塗装ブースを有するより多くのお客様の課題解決に貢献することが可能になりました。
中小規模塗装ブースの多くでは油性塗料(溶剤系塗料)が使用され、その粘着性が問題となっています。塗装ブース内部や循環水配管、ポンプなどの設備に塗料が粘着すると、塗装品質の低下や、生産ラインの停止といった重大なトラブル発生につながります。また、設備の清掃頻度の増加や排水処理装置への負荷増大も課題となっていました。
これに対し、「クリスタック®W307」は油性塗料の粘着除去に抜群の効果を発揮し、高い持続力を備えていることで設備への塗料の付着を防止します。また、従来の水処理薬品では不粘着効果が持続せず、過剰添加すると発泡してしまうため、薬注装置にて連続注入する必要がありましたが、「クリスタック®W307」では発泡の懸念がなく、管理が容易で一括注入も可能なため、薬注装置の設置を必須としません。これらのメリットが中小規模塗装ブースを有するお客様に受け入れられ、「クリスタック®W307」は昨年以降、未納入のお客様を中心に販売実績を拡大し、中国の自動車部品メーカーなどでも採用されています。
さらに当社は、「クリスタック®W307」を主体に中小規模塗装ブースに関わる総合的な課題解決に取り組んでいます。塗装ブースのウォーターカーテンへの付着物については、スケール防止剤を適用して清掃頻度を低減。また、余剰塗料の沈殿や循環水の腐敗による臭気対策として排水処理分野で培ってきた消臭技術を採用するなど、複数の薬品を組み合わせてお客様にとって最適な提案を行うことで、お客様の環境負荷低減と生産性向上に貢献していきます。
塗料の種類や塗装ブースの構造が多様化し、あらゆるお客様の課題に対応するサービスが求められる中で、当社は従来の自動車工場など大規模塗装ブース向けの事業に加えて、中小規模塗装ブースでの新市場開拓に注力していきます。国内はもちろん、中国や東南アジアなど海外市場の幅広いお客様に向けて、当社独自の塗装ブースの総合水処理提案をさらに強化することで、3年後には本取り組みにおける売上高12億円を目指してまいります。
【参考】関連プレスリリース:
自動車工場等の環境負荷低減と生産性向上に寄与する水処理薬品「新クリスタックシリーズ」を開発(2015年6月29日)
<補足資料>
■中小規模塗装ブース内での水処理
対象となる中小規模塗装ブースの多くでは、霧状にした塗料を製品に噴き付けて塗装しています。その際、製品に塗着しなかった余剰塗料を、ウォーターカーテンで捕集し、外気への塗料の放出を防ぎます。ウォーターカーテンで使用した水は水処理薬品を添加し、塗料を不粘着化、分離・回収することで、その水を循環し再利用しています。
しかし、塗料の不粘着化、分離・回収が不十分であると、ウォーターカーテンへ塗料やスケールなどが付着することにより、設備の清掃頻度が増加することに加え、付着物による塗料の跳ね返りや水はねが発生して製品不良となる可能性があります。さらには、余剰塗料や循環水が腐敗することで臭気が発生するなど、中小規模塗装ブースにおいて、水処理に関わる様々な課題解決が求められています。
■クリスタックシリーズおよび中小規模塗装ブース薬品の紹介
<クリスタックシリーズ>
「クリスタックシリーズ」は、お客様の工場の塗装ブースで使用される塗料を処理するための当社の水処理薬品です。塗装ブースの構造や塗料の種類も変化する中で、お客様のニーズに応じた様々な機能を有する商品を開発し、ラインナップしています。
<中小規模塗装ブースで使用する薬品の紹介>
製品名 | 特徴 |
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クリスタック®W307 (*クリスタックシリーズ) |
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スケール防止剤 …カレントアップ®T-201ほか |
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消臭剤 …ステンチカット®NX、クリレイザー®Rほか |
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以 上