水処理産業のデジタル変革(DX)に挑む栗田工業株式会社(東京都中野区、社長:門田 道也)とFracta Leap株式会社(東京都新宿区、社長:北林 康弘)は、共同で進める「メタ・アクアプロジェクト*1」にて、第1弾のAI最適運転ソリューションの開発に成功し、その実プラント検証を終え、特許を出願しました。当該ソリューションは、水処理において費用と電力消費量の占める割合が高いRO膜装置*2を対象に、AI(人工知能)によって過去データなどから同装置の運転操作を最適化することで、運転費用とCO2排出量(電力消費量他)の同時削減を実現するものです。
当該ソリューションの実プラント検証は、昨年12月から実施され、図1・2の通り、AI最適運転による電力消費量の削減効果が確認されました。この結果から、メンテナンス頻度の減少も考慮すると、従来と比較して運転コストの約4割・CO2排出量の約1割を削減できることが見込まれます。当該成果を受けて、今年2月末には、両社共同にて当該ソリューションに関する特許を出願しています。
今後は、2021年度中をめどに、当該ソリューションを製品として展開する予定です(製品化に向けては、他の水処理ラインでの運用を含めた、より精緻な効果測定や適用条件整備等を目的とした実証実験に進む計画です)。加えて、メタ・アクアプロジェクトでは、他にも複数の水処理向けAI最適化ソリューションをシリーズとして開発しており、それらを束ねた複合型サービスとして、国内外のお客様にDXによるコスト削減や脱炭素化といった価値を提供して参ります。具体的には、RO膜装置の前処理に位置する各種装置もAI最適運転の対象とすることで、水処理プラント全体のスマート化(デジタル化・最適化)を実現します。
なお、本成果は、栗田工業とFracta Leapが、水処理及び運転管理技術とデジタル技術に関する双方の知見・ノウハウを補完し合うことで本プロジェクトを推進してきた結果であり、今後も両社の密接な協力体制を基盤にデータドリブン型の事業を推進して参ります。また、本プロジェクトの技術開発・製品開発を主導するFracta Leapでは、データサイエンティスト、バックエンドエンジニア、プロダクトマネージャーなどのプロフェッショナル人材を積極的に募集・採用しており、向こう2年で30-40名程度の体制を構築する予定です。
クリタグループは、気候変動問題を世界共通で取り組むべき喫緊の課題と捉えております。今後は、本プロジェクトの成果によりお客様へ提供するソリューションをより低炭素型へと変えていき、社会との共通価値の創造に注力してまいります。
【図1 実プラント検証に使用した水処理ラインの概要と課題】
【図2 RO膜装置のAI最適運転による実プラント検証の結果概要】
注
*1「メタ・アクアプロジェクト」: 水処理インフラの持続可能性のために、デジタル技術による抜本的な生産性改善を目的として、2020年に発足した栗田工業とFracta Leapの共同プロジェクトです。主にAI・IoT技術を用いて、水処理及び運転管理のスマート化を推進しています。詳細は、昨年8月の発足時のプレスリリースの内容をご参照ください。(https://news.kurita-water.com/press200820)会社名 | 栗田工業株式会社 |
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所在地 | 東京都中野区中野四丁目10番1号 |
代表取締役社長 | 門田 道也 |
事業内容 | 水処理薬品・水処理装置の製造・販売、水処理装置のメンテナンス、超純水供給、土壌・地下水浄化 |
WEBサイト | https://kurita-water.com/ |
会社名 | Fracta Leap株式会社 (フラクタリープ) |
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設立 | 2020年5月(米国AIスタートアップ Fractaが子会社として設立) |
所在地 | (東京オフィス) 東京都新宿区高田馬場3丁目2-14 (川崎オフィス・ラボ) 神奈川県川崎市幸区新川崎7番7号 KBIC本館 |
代表取締役 | 北林 康弘 |
事業内容 | 水処理に関する社会インフラの問題解決に貢献する技術・製品の開発 |
WEBサイト | https://fracta-leap.com/ |