水処理産業のデジタル変革(DX)に挑むFracta Leap株式会社(東京都新宿区、社長:北林 康弘、以下「Fracta Leap」)が参画する、栗田工業株式会社(東京都中野区、社長:門田 道也)の「メタ・アクアプロジェクト*1」は、環境省の「革新的な省CO2型感染症対策技術等の実用化加速のための実証事業*2」に、「AI運転操作判断システムによる逆浸透膜(RO膜)装置*3の運転最適化」のテーマで応募し、この度採択されました。
当該テーマは、本年3月24日付プレスリリース「DX・脱炭素化に向けた『水処理AI最適運転』の実プラント検証と特許出願が完了*4」で発表した新技術の実用化に向けた本格実証です。この新技術・ソリューションの特長は、水処理プロセスの中で運転コストおよび電力消費量の占める割合が高いRO膜装置を対象に、AI(人工知能)によって過去データなどから同装置の運転操作を最適化することで、運転コストとCO2排出量の同時削減を実現するものです。従来と比較して運転コストの約4割・CO2排出量の約1割を削減できることが見込まれます。
水セクター(上下水道・産業用水処理 等)は、世界の温室効果ガスの5%を排出しているといわれていることもあり、今後もさらに水需要の増大が予測されていることを鑑みると、水処理産業におけるCO2排出量抑制の対策は急務です。その中で、これから特に増加する再生水・海水淡水化プラントで多く使用されるRO膜装置を対象とした当該ソリューションは、貢献余地が非常に大きいものといえます。
本件を推進するメタ・アクアプロジェクトでは、水処理プラント全体のスマート化(デジタル化・最適化)を目指し、RO膜以外の装置向けAI最適運転ソリューションや、水処理プラントのAI設計(最適化・自動化)ソリューションも併せて開発を進めており、今後も国内外のお客様へ、DXによる脱炭素化・コスト削減といった価値を提供してまいります。
なお、同プロジェクトの技術・製品開発を主導するFracta Leapは、来月新オフィスへ拡張移転するなど、さらに組織体制を拡充していく予定です。プロダクトマネージャー、バックエンドエンジニア、データサイエンティスト、データ基盤構築マネージャーなどのプロフェッショナル人材を積極的に採用しており、向こう2年で30-40名程度の体制とする予定です。
【図1 RO膜装置を対象とした水処理AI最適運転の概要】
注
*1「メタ・アクアプロジェクト」:水処理インフラの持続可能性のために、デジタル技術による抜本的な生産性改善を目的として、2020年に発足した栗田工業とFracta Leapの共同プロジェクトです。主にAI・IoT技術を用いて、水処理プラントの設計・生産および運転管理のスマート化(効率化・高度化)を推進しています。当社では、2020年にDXを推進する「デジタル戦略本部」を新設し、デジタル技術による事業の変容を加速しており、本プロジェクトはその中核として位置付けられています。また、本プロジェクトは、当社の子会社であり米国AIベンチャー企業であるFractaとの初めての本格的な共同プロジェクトです。本プロジェクトを通じて両社のさらなるシナジーを創出していきます。詳細は、2020年8月20日付プレスリリースをご参照ください。
*2「革新的な省CO2型感染症対策技術等の実用化加速のための実証事業」: 日本の温室効果ガス削減に係る目標の達成に向けたデジタル技術を活用したグリーンソリューション創発支援と、「ポスト/With コロナ」社会に向けた安全・安心な衛生環境創出支援を組み合わせた環境省の実証事業です。詳細は、公募概要をご参照ください。
*3「逆浸透膜(RO膜)装置」:RO膜は、水中のイオン類や有機物を除去する膜で、主に半導体・液晶の製造に必要な超純水分野や、各種民間工場における排水回収、さらには海水淡水化プラントなどの分野で使用されています。同装置の運転には、給水ポンプで原水に高圧力をかけRO膜を透過させる必要があるため、その電力消費量削減が水処理における重要課題の一つとなっています。実プラント検証で対象となったラインでは、ライン全体の電力消費量の約6割を同装置が占めていました。
*4「本年3月24日付プレスリリース:DX・脱炭素化に向けた『水処理AI最適運転』の実プラント検証と特許出願が完了」:詳細はこちらをご参照ください。
栗田工業の概要
会社名 | 栗田工業株式会社 |
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所在地 | 東京都中野区中野四丁目10番1号 |
代表取締役社長 | 門田 道也 |
事業内容 | 水処理薬品・水処理装置の製造・販売、水処理装置のメンテナンス、超純水供給、土壌・地下水浄化 |
WEBサイト | https://kurita-water.com/ |
Fracta Leapの概要
会社名 | Fracta Leap株式会社 (フラクタリープ) |
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設立 | 2020年5月(米国AIスタートアップ Fractaが子会社として設立) |
所在地 | (東京オフィス) 東京都新宿区高田馬場3丁目2-14(12月より新宿御苑へ移転予定) (川崎オフィス・ラボ) 神奈川県川崎市幸区新川崎7番7号 KBIC本館 |
代表取締役 | 北林 康弘 |
事業内容 | 水処理インフラの問題解決に貢献するデジタル技術・製品の開発 |
WEBサイト | https://fracta-leap.com/ |