栗田工業株式会社(東京都中野区、社長:門田 道也)と、Fracta Leap株式会社(東京都新宿区、社長:北林 康弘)の共同で水処理産業のデジタル変革(DX)を目指す「メタ・アクアプロジェクト*1」にて、水処理プラントの設計を自動化するアプリケーションの「β版*2」開発を完了し、その運用を開始しました。
これまで、本プロジェクトでは、顧客の納期短縮ニーズに応えるべく、「提案スピードの飛躍的向上と設計時間の抜本的削減」を目指して、同業務を自動化・最適化するアプリケーションの開発を進めてきました。その第1弾として、配置図(装置等のレイアウト)を自動設計するアプリケーションのβ版開発を完了し、今月から設計実務者による運用を開始しています(なお、本プロジェクトが手掛ける他の自動設計アプリケーションに関しても、今年度中に順次β版の運用を開始します)。
その効果としては、一連の自動設計アプリケーションを運用することで、プラントの「基本設計*3」の業務量は約6割が削減され、所要期間も約4割が短縮される見通しです。加えて、プラント設計案を高速に取捨選択できることになり、水処理プラントのライフサイクルコストの最適化、環境負荷抑制を含めたライフタイムバリューの向上にもつながります。
また、本件は技術的な面でも画期的です。具体的には、水処理の中でも、特に複雑で難度の高い産業領域で、その最上流にあたる「基本設計」をアルゴリズムで自動化しており、商業ベースでは国際的にも前例がありません。なお、本件のアルゴリズム技術に関連して、既に両社共同で特許出願も完了しています。
今後の展望としては、設計実務者からのフィードバックを得ながら、一連の自動設計アプリケーションの「正式版」の開発完了を目指します。併せて、クリタグループの各社と連携を図りながら、国内のみならず海外のお客様にも、本アプリケーションを通じた価値提供ができるように邁進してまいります。
なお、Fracta Leapでは、自動設計アプリケーションの事業進展に伴い、組織体制を拡充しており、アーキテクト/テックリード、数理最適化エンジニア、データエンジニア、プロダクトマネージャー、事業開発リーダー、などのプロフェッショナル人材を積極的に採用しており、来年には正社員30~40名の体制とする予定です。
自動配置設計アプリケーションの主な機能特長
設計が高速にできる「グループ配置」
アルゴリズムで、装置グループ単位のプロット・修正がパズルのようにサクサクと進められる
メンテナンス動線を考慮した「自動提案」
アルゴリズムで、配管ラックの生成や、メンテナンス動作を考慮した装置の向きを自動提案し、設計作業を最小限に
配管長を最小化する「最適配置」
アルゴリズムで配管長を最適化。最適化結果はリアルタイムにレビューすることが可能
注
*1「メタ・アクアプロジェクト」… 水処理インフラの持続可能性のために、デジタル技術による抜本的な生産性改善を目的として、2020年に発足した栗田工業とFracta Leapの共同プロジェクトです。主にAI・IoT技術を用いて、水処理プラントの設計・生産および運転管理のスマート化(効率化・高度化)を推進しています。詳細は、2020年8月20日付プレスリリース(https://news.kurita-water.com/press200820)をご参照ください。*2「β版」…アプリケーションの正式版を配布する前に、主に試用のために提供されるバージョンのこと
*3「基本設計」…プラントの要件に基づき、必要な設備やその配置等の大枠を決定し、各種概略的な図面に落とし込む作業のこと
【栗田工業の概要】
会社名 | 栗田工業株式会社 |
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所在地 | 東京都中野区中野四丁目10番1号 |
代表取締役社長 | 門田 道也 |
事業内容 | 水処理薬品・水処理装置の製造・販売、水処理装置のメンテナンス、超純水供給、土壌・地下水浄化 |
WEBサイト | https://kurita-water.com/ |
会社名 | Fracta Leap株式会社 (フラクタリープ) |
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設立 | 2020年5月(米国AIスタートアップ Fractaが子会社として設立) |
所在地 | (東京オフィス) 東京都新宿区新宿2-8-15 パークフロント新宿 3階 (川崎ラボ) 神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1 KSP東棟 207 |
代表取締役 | 北林 康弘 |
事業内容 | 水処理インフラの問題解決に貢献するデジタル技術・製品の開発 |
WEBサイト | https://fracta-leap.com/ |