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製紙工程向け予兆診断サービス「Kuri-smart™」の本格展開を開始

2024年9月12日

    栗田工業株式会社(本社:東京都中野区、社長:江尻 裕彦、以下「クリタ」)は、製紙工場の紙製品製造工程(以下「製紙工程」)における水質データなどを活用し、製造品質低下やそれにともなう操業障害などを事前に予測しその原因の推定を可能にする予兆診断サービス「Kuri-smart™」の本格展開を、本年9月に開始しました。

    製紙業界では近年、熟練工の退職にともなう技術伝承や労働人口の減少などによる人員不足が課題となっています。また、急速かつ大きな事業環境の変化が起きつつあり、脱炭素化の動きを受け蒸気を作る際のエネルギーやCO2排出量の削減、水資源の保全を目的にした排水の再利用などの対応が急速に進んでいます。環境負荷低減の観点から再生紙への需要は継続しているものの、原料となる古紙が不足しており、低品質の古紙原料を使うことによる製品の品質トラブルが増加しています。これらの状況を踏まえ、製紙工程では、より少ない人数で製品品質を担保しつつ安定操業に取り組むことが求められています。

    「Kuri-smart™」は、製紙工程における水質とその変動などに係るプロセスデータを、データサイエンスにもとづく高度な処理技術を用いて解析することによる、欠点(*1)の発生による品質低下、操業障害などの予兆診断サービスとして、クリタが独自に開発したものです。クリタの水処理管理サービス「S.sensing®」シリーズなどで取得したプロセスデータの複雑な変動を可視化し、独自の予測モデルを用いて欠点などの発生予測と要因を自動で解析しシミュレーションすることにより、その予防策と定量的なメリットの把握を可能にします。

    また、予兆診断結果にもとづく予防策として、クリタの水処理薬品、水処理装置、およびメンテナンスサービスを組み合わせた総合的なソリューションの提案から適用までを、「Kuri-smart™」と連携し提供します。なお、このたびの本格展開に先立ち「Kuri-smart™」を先行導入した複数のお客様で、予測モデルによる解析と認識した課題の因子に対して予防策を講じた結果、欠点の発生数を従来比でおよそ4割低減したほか、製紙工程における蒸気の使用量を従来比で削減できる見込みです。

    なお「Kuri-smart™」については、本年10月9日(水)~11日(金)に開催される、第67回-2024年紙パルプ技術協会 高崎年次大会の講演・展示会でご紹介する予定です。

    クリタグループは、デジタル技術の積極的な利活用による、ランニングコストの削減や省力化、節水やGHG排出削減、ならびに資源循環に寄与するソリューションの創出と提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

    以 上

    注)
    *1欠点とは、紙を製造する際に、異物等が付着することにより、製品中に穴や斑点が生じる障害。

    <参考URL>
    第67回-2024年紙パルプ技術協会 高崎年次大会 参加者募集のご案内(紙パルプ技術協会公式ウェブサイト)
    https://www.japantappi.org/ja/event/67-2024nenjitaikai_takasaki_sannkashaboshu/

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